ナースがへき地医療の中で思うこと

鹿児島の看護師求人ガイド~離島医療の現状~

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離島ナースがへき地医療とその設備について考えてみました。

看護師が考える、へき地医療問題

へき地医療:ドクターヘリこれは離島に限ったことではありませんが、最近、へき地医療についての話題が出ると必ず“ヘリコプター搬送”とか“ドクターヘリ”という単語が出てきます。何だか「ヘリコプターさえ使えばへき地医療の問題が一挙に解決する」という謳い文句のキャンペーンでもやっているかのようです。

そもそもヘリコプターは救急車と違って、民間人が119番すれば飛んでくるというものではありません。医師が診察した上では必要性を判断し、急を要すると判断した場合だけ用いられるものです。しかも、ヘリコプター救急を決めた場合、その後には膨大な事務手続きが待っています。医師は手続きに追われ、たいていは1人しかいない離島診療所やへき地診療所の看護師が他の業務をこなさなければいけない状態になってしまうのです。

たくさんの人が働いている大病院ならいざ知らず、鹿児島県の離島にある診療所では、ヘリコプター1台を手配するために他業務が止まってもおかしくないのが実情。ただ単にヘリコプターを用いれば離島医療やへき地医療の問題が解決するという間違った認識が広がってしまうのはあまり良いことではありません。

鹿児島におけるヘリコプター運用上の問題

鹿児島本土のヘリポートまず、いくらヘリコプターといっても、遠距離を移動するためには時間がかかります。鹿児島県は沖縄との県境ちかくにある島嶼もあり、ヘリが使えればどうにかなるというものではありません。

さらに、鹿児島本土のヘリポートは鹿児島市の中心部から距離があります。ヘリが鹿児島までやってきただけでは意味がなく、市中心の中核病院まで搬送しなければ意味がありません。ヘリの患者さんを救急車に乗せて、さらに2次3次医療機関に運ぶまでは、やはりかなりの時間がいるのです。

一刻を争う患者さんだからこそヘリコプターを使うのに、ヘリを利用しても早急な搬送ができないのであれば、敢えてヘリを導入する効果がいかほどかは疑問です。

それよりも、離島の中に2次医療が提供できる大病院を設置するほうが現実的ではないか?離島で働く看護師としては、そういった思いがあります。実際、私はすぐに大きな病院に移送すれば助かったかも知れない患者さんが、搬送中に亡くなった例を知っています。もう、2度とあのような思いはしたくありません。

へき地医療を少しでも改善するために

私としては、3次医療機関が必要な患者さんのために移送方法を確保しつつも、離島に2次医療に対応できる程度の設備を整えた医療機関を設置してほしいというのが強い願いです。かつて、脳梗塞の患者さんが本土への搬送中に亡くなったのを見た時、せめて本土の病院なら高確率で助かる病気で命を落とす人がいなくなってほしい…と悔しくてたまりませんでした。

ヘリコプターで搬送するには、ヘリポートの整備など様々な問題がありますし、それらを全てクリアしたところで悪天候なら飛べません。島の中に充分な設備を持つ医療機関さえあれば、そういった不確定要素に左右される可能性は極めて低くなります。設備増強と医師確保、この2つがあれば、ここ数年で失われたいくつもの笑顔は失われずに済んだかもしれないのです。